2011年3月30日水曜日

終業式にあたり

3月に発生した東北太平洋沖地震、それに伴う大津波、福島原子力発電所の事故は、生徒たちにも大きな衝撃を与えました。繰り返し報道される現地の厳しい状況に胸を痛め、強いショックを受けています。そうした中、今自分たちに何ができるか、真剣に考え、行動を起こし始めています。3月14日には生徒会執行部が中心となって校内募金活動をはじめ、3月19日の文化部発表会では、震災の被害を受けた現地への支援と連帯の熱い思いを込めて、吹奏楽部と合唱部が力いっぱいの演奏を繰り広げました。また、ロビーでは、インターアクト部が中心となり募金活動を行い、数時間で10万円を超える募金が集まりました。震災の事実だけが記憶に残るのではなく、そのとき自分は何を考え、どう行動したのかが、後年きっと記憶に残るような、そんな生徒の言動は心強い限りです。 本年度は、とりわけ美化委員を中心に、「ゴミの分別から減量へ」の意識で環境美化活動を推進しました。来年度は、HRごとに選出された人権委員が中心となり、学校行事をはじめとする教育活動全ての点において、自主自立の精神を基調とし、人権に配慮し人権を尊重した生徒主体の活動が展開されることを期待しています。 三重県こども条例の制定に関わった卒業生の思いを在校生が受け継ぎ、その具現化を目指して、生徒が主役となった学校づくりに取り組んでほしい。

2011年3月5日土曜日

卒業式

3月1日に卒業式がありました。15名の来賓の方々に臨席いただき、250名を越える保護者が出席されました。私からは、下記のような内容の式辞を述べました。 

 卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様方には、今日この日を迎えるにあたり、感慨ひとしおのことと思います。心よりお喜び申し上げます。
 本日ここに、卒業証書授与式を挙行するにあたり、大変お忙しい中、多数の来賓の方々にご臨席を賜りました。厚くお礼申し上げます。(ありがとうございます。) 卒業生の皆さんは、3年前、本校が前期選抜の実施など大きな学校改革に乗り出した、その初年度に入学した、いわば「改革の第一期生」であります。希望に胸を膨らませ、そして周りからは大きな期待をかけられながらの高校生活だったと思います。この3年間を振り返ってみて、心の中にこみ上げる思いは、どのようなものでしょうか。合唱祭や文化祭でクラス一丸となって取り組んだこと、あるいは遅くまで練習に明け暮れたクラブ活動のこと、大学受験を目指し自主学習や補習に取り組んだことでしょうか。そこには、ともに学び汗を流した仲間たちとの思い出や、時には厳しい言葉を投げかけながらも、土曜日曜をいとわず粘り強く接してくれた先生方との思い出が、ぎっしり詰まっているものと思います。それらの思い出を、今あらためて胸に刻んで、旅立ちの支えとしてください。
 昨年度の卒業式から、卒業生全員の名前を読み上げており、先ほどは、8人の担任が、一人ひとりの名前に万感の思いを寄せながら読み上げました。なかには、1年生の途中、病のため、高校での学習を強く望みながらも、その思いが叶わず天国へと旅立ってしまった仲間がいます。名前を読み上げることはできませんでしたが、3年間、9人全員が持ち上がった3年担任団の先生方は、ともに過ごした在りし日の姿を思い浮かべながら、「いっしょに卒業だよ」との思いを心に抱いて、今、こうして式に臨んでいることと思います。命の尊さ、そして生きていることの意味をしっかりと受け止め、保護者の方々や自分の周りの方々への感謝の気持ちを決して忘れずに、これからもそれぞれの夢の実現に向かって精励し、「生きる力」を確かなものとしていってください。
 在校生のみなさんにも、あわせて伝えたいことがあります。 本校は、学習活動や部活動に熱心に取り組みながら、人間力を鍛えるとともに、進路希望の実現を図ることを、大きな目標としています。そのためには、知識や教養のみならず、人として人間形成に関わる学びなど、多くの学びに対して、受け身の姿勢ではなく、自ら、主体的に向かっていこうとする姿勢を持つことがが大事です。旧制中学校からの伝統を受け継ぐ本校の、創立の理念は、自主自律・気高き品性であり、(「プラチナの陽はふりそそぎ・・・」で始まる校歌の中にうたわれていますが、)これらは、新しい制服のデザインのモチーフともなっており、110年の時代を超え、現在へと受け継がれているものです。自ら考え、自ら学ぶ姿勢を生涯忘れず、これからもたくさんの方々との出会いや体験を通して、学びを深め、自分の意思で未来を切り拓いていく力を身につけていってください。
 卒業生の皆さんは、宇治山田高校で過ごした日々を糧とし、今後、同窓生の一員として、一層飛躍されることを期待し、卒業式にあたっての式辞とします。